3,おはなしの旅のなかま

先日、あたしは、おはなし会の準備(じゅんび)をしようと、

図書館のおはなしの部屋へ、入っていきました。

すると、2人の中学生らしい女の子たちが、『かみしばい』を読み合いっこしていました。

あたしと目が合うと、したしみをこめ、

とても自然(しぜん)にニッコリとわらってくれました。




中学生  「今日、おはなし会あるの?」

あたし   「あるよ。3時からね。」

中学生  「友だちを、よんでくる!」


そして友達を2人もよんできて、

4人の中学生は、おはなし会にさんかしてくれました。



そのうちの2人は、小学生の時に、

≪おはなし≫ を聞いたことのある子どもたちでした。


それもただ聞いただけでなく、語り手のあたしといっしょに

おはなしの世界を旅した経験(けいけん)の持ち主だったのです。



いっしょにおはなしの世界を旅したからこそ、

あたしのことも、よくおぼえていてくれたのだと思います。

いっしょに山に登り、いっしょにその風景(ふうけい)に感動し、

いっしょにドキドキし、いっしょに歌をうたい帰って来たのです。



ただ、おはなしを文章だけで聞いていたなら、

きっと、わすれられていたのではと思います。


わらってくれた笑顔(えがお)に・・・

「同じ旅をした、なかまだよね。」という親近感(しんきんかん)がただよい、

仲間意識(なかまいしき)がおたがいの間に通じ合いました。




中学生に敬遠(けいえん)されがちな手遊びも、

彼女たちは、いっしょに楽しんでくれました。

あたし  「1と5という手遊びをします。
       5(指5本)が、お皿で、1(指1本)は、つまようじです。
       いつもは ♪1と5でたこやき食べて〜♪と、やるんだけど、
       今日はほかのものを食べましょう。なにを食べる?」

中学生  「試食(ししょく)のウインナ―!」


その中学生の中のひとりが、答えてくれました。

おとなのたちの方から、どっとわらいがおこり、みんなが、手遊びの楽しさに、

引きこまれます。




あたし  「わかる?試食のウインナーって。」

小さい子 「うん、ぼく、いつも食べるよ!」


と、かわいい子が答えてくれました。

あたし  「じゃぁ、1と5は、試食のウィンナーでいくね。」



そして、≪おはなし≫がはじまっても、

いっしょに旅したなかまが、さんかしてくれていますから、

安心して、おはなしの世界へ出かけることができました。



道にまようこともなく、ころびそうになったら、彼女たちが助けてくれました。


あたしがえがく、おはなしの世界よりも、強力な力で絵をえがき、

おはなしの世界を作ってくれて、みんなで、いっしょに旅を楽しみました。


この日のおはなし会は、もちろん、すばらしいものになりました。



もしかしたら、今度は、彼女たちが語り手として、

おはなしの旅にさそってくれるのではないかと、


ほのかな期待も、感じさせてくれた出会いでした。

      お茶とケーキはいかが?・・・・・・・・つぎのおはなしへ


おはなしの部屋の入口へ